フランスワイン直輸入販売 JPM【ノワロー・ジョン-パスカルさん インタビュー】

パスカルさんインタビュー202403

Style郡山スペシャルインタビュー
“How do you like FUKUSHIMA?”

福島県内で活躍する外国人の方を紹介形式で“繋ぐ”インタビューシリーズ。
今回は郡山市でフランスワイン直輸入販売業を営むジェイ・ピー・エム代表 ノワロー・ジョン-パスカル氏をインタビュー。
来日したきっかけ、日本での生活や異文化に触れて感じた事、展開しているビジネスなど、いろいろなお話を伺いました。

Owner Jean-Pascal Noirault
フランスワイン直輸入販売 JPM
代表 ノワロー・ジョン-パスカルさん

出身はどちらですか?

私はフランス南西部ボルドーの近くにあるベルジュラックという小さな町の出身です。

↓ドルドーニュ川沿いのベルジュラックの風景

ドルドーニュ川沿いのベルジュラックの風景

↓ベルジュラックのモニュメント

ベルジュラックの モニュメント

↓サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック像

サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック像

普段の趣味や好きなことは?

読書や映画鑑賞、朝のウォーキング、ワインの勉強が好きですね。読書ではスリラー小説を読むのが好きです。映画はジャンル問わずに色々な映画を観ています。

日本の映画も観ますか?

私は「釣りバカ日誌」が好きです。あの映画はとても分かりやすいですね。でも私は釣りはあまり好きではないんですけどね(笑)

福島で好きな場所は?

須賀川と猪苗代が好きです。須賀川のお店の料理はとても美味しいですね。特に「焼鳥 よし田」の焼鳥、「FERRAGOSTO (フェッラゴースト)」のイタリア料理とワインがとても好きです。猪苗代は絶景で、湖や山々が美しいです。とても静かな場所で、仕事や日常生活での疲れをリフレッシュしたい時はよく行っています。

日本の好きな食べ物は?

焼鳥、お好み焼き、おでんが好きです。

フランス料理では何が好きですか?

コンフィ・ド・カナールとマグレ・ド・カナールが好きです。

CONFIT DE CANARD(コンフィ・ド・カナール)

コンフィ・ド・カナールは、フランス南西地方の伝統的な家庭料理で、鴨もも肉を低温の油でじっくりと煮た料理です。

MAGRET DE CANARD(マグレ・ド・カナール)

フォアグラを取るために肥育した鴨の胸肉のことをmagret マグレと呼びます。赤ワインとの相性も良く、噛めば噛むほど旨味が口いっぱいに広がります。

フランス料理

子供の頃はどのように過ごしていましたか?

よくテニスをしていました。特に15才ぐらいの時は、友人達とテニスばかりしていました。サッカーもしていましたよ。

日本に来たきっかけは何ですか?

30年前、私はアメリカ資本の会社で働いていました。日本のマーケットが担当でしたので、フランスと日本を行ったり来たりしていました。その時にフランスで妻と出会い、日本で暮らすことになりました。

ノワロー・ジョン-パスカル③

奥様と出会ったきっかけは?

共通の友達の紹介で出会いました。私の日本人の顧客は英語があまり話せず、私も日本語が下手でしたので、私達には通訳が必要でした。その際に、フランス語と日本語の通訳をしていた妻と出会ったのがきっかけです。

奥様と

結婚されてフランスではなく、日本に住もうと思ったのはなぜですか?

一つは新しい生活を始めたかったから、そして私自身の会社を立ち上げたかったからです。日本は素晴らしい国で、ビジネスを始めるのにもいい国だと思いました。それは私にとって素晴らしい冒険でしたし、いい挑戦の機会でした。まず、日本に来て最初の5年間は東京で生活し、それから妻の故郷である福島に引越して暮らすことにしました。

遠く離れた日本で暮らすことに対して、フランスのご両親や家族からの反対などはなかったですか?

両親は、「日本に行きたい気持ちがあるのなら、お行きなさい。自分の人生なんだから」と言ってくれました。

↓ご家族と

ご家族と

日本に来た時、何か母国との違いを感じましたか?

すべてが違いましたよ。人々も言葉も景色もすべてが違いました。まるで新しい惑星に来たような感じでした。日本の人々はとても忙しく、何事もスピーディーで、仕事好きな人が多いと思いました。フランス人は、時間にゆとりがあり、のんびりしています。仕事に関しても、同じ考えを共有して働いたりしませんし、それが大きな違いでした。

本で生活する上で大変だと思った事は?

日本に来た時は日本語が話せなかったので、毎日、日本語を勉強しなければなりませんでした。自分の伝えたい事を伝えられるようになるまで5年かかりましたね。

二つ目に大変だったのは考え方の違いです。フランスでは自分が思っていることをストレートに言いますが、日本人は、思っていても言わないことも多くあります。ですから、私は日本人の心を読むことを学ばなければなりませんでした。
私の日本語はまだまだですが、伝えたい事はだいたい伝えられるようになったかなと思います。少なくとも25年前よりはだいぶん話せるようになりました。日本語の上達に最も効果的だったのは人と話すことでしたね。

↓ご家族と

ご家族と②

日本でフランスワイン直輸入販売を始めたきっかけは?

一つ目の理由は、自分のビジネスを始めたかったことと、会社のオーナーになりたかったからです。
二つ目は、妻とビジネスを始めるにあたり、オリジナルの商品を販売したかったのですが、ワインは唯一私達が持っている商品でした。
ワインはまさにフランスそのもので、フランス文化の一つです。オリジナルの商品を販売するなら、フランスのよく知られていない地域の小さなワイナリーから直接輸入しなければなりません。
私が25年前に日本に来た時、日本人の顧客が知っていたのは、ボルドーとブルゴーニュのワインだけでした。しかし、フランスにはたくさんの地域のワインがあります。フランスのさまざまな地域のワインを知ることで、フランスワインの全体像が分かるようになるのは、皆さんにとって面白いことだと思いました。そこで私達はボルドーとブルゴーニュ以外の小さなワイナリーからワインを輸入することにしました。最初の商品は私の故郷のワインです。

↓聖ティエンヌ会のグランドマスター(右)と一緒に

聖ティエンヌ会のグランドマスター(右)と一緒に

ノワロー・ジョン-パスカル

日本でビジネスをする上で大変だった事は?また、どのようにその状況を乗り越えましたか?

ビジネスは毎日が大変ですが、そうですね。今回は販売について話しましょう。
日本とフランスでは販売方法が全然違いました。日本ではお客様は神様で、より慎重に顧客と接しなければなりません。そのため、私は最初にどのようにお客様と接するかを学ばなければなりませんでした。
もちろんフランスでもお客様を大事にしなければなりませんが、そこまで気遣いは必要ありません。日本ではいつでもお客様に気遣いが必要で、必ず確認、電話、時には訪問も必要です。例えば、もしお客様からの注文が来なければ、電話で確認、訪問、そして新しい提案も必要です。フランスでは、そこまで厳密な販売の過程はありません。まだまだ勉強中ですが、私にとってはとてもいい経験となっています。

今は年に何回ほどフランスと日本を行き来していますか?

コロナ禍の前は1年に2回は帰っていました。でもコロナ禍の間は4年間帰りませんでした。去年の2月に4年ぶりに帰ったので、今は1年に1回か2回ぐらいですね。

この先のプランややりたいことなどありますか?

ビジネスを成長させて、販路を広げていきたいと思っています。小さなワイナリーの特別なワインをもっと輸入できるようにしたいです。そしてオーストラリアやニュージーランドなど、他の国々からの輸入にもチャレンジしたいと思っています。でも今のところはフランスワインを中心に考えていますね。

販売エリアはどのぐらいの広さですか?

卸売りを中心として日本全国に販売、発送しています。レストラン、ホテル、旅館、バーなどの顧客が多いですが、ホームページから一般の方でも購入することができます。

最後に、Style郡山読者に何かメッセージをお願いします。

ワインは難しい飲み物ではありません。社交的な飲み物で、友人達と分かち合えるものであり、料理にもよく合います。
ワインを知るにはまずはワインを飲んでみることをおすすめします。本を読んで勉強するのではなく、まずは飲んでみる。それが私のモットーです。友人たちとできるだけ多くの種類のワインを一緒に何度も飲んでみることです。そしてワインについて語り合うことです。それはとても面白いものです。
あなたがワインについて話す時、たとえその場の人達が様々な国の人々であっても、香り、味わい、渋味、酸味について話す時は、同じ共通言語を話してるようなものです。私は世界中の人々が集うプロの試飲会に参加していますが、ひとたび同じテーブルに座り、テイスティングが始まると、みんな同じ仲間になります。なぜならみんなでワインへの情熱を共有しているからです。
Style郡山の読者の方々にもぜひ、それを体験してもらいたいと思います。ワインはただの飲み物ではなく、文化やそれ以上のものを持っています。ワインに親しみ、分かち合えば、さらにもっとワインの事が知りたくなると思います。

ノワロー・ジョン-パスカル②

WSET®とは

Wine & Spirit Education Trust(ワインとスピリッツの教育企業合同)の略で、イギリスのロンドンに本部を置く世界的な酒類の教育機関。ワイン、スピリッツ、日本酒の分野で、講座や試験を提供しており、ワインのプロや愛好家、鑑定家など、世界をリードするワインプロバイダーのための教育機関の一つとして認められています。世界各国の酒類の流通関係者だけでなく、業界の専門家や一般のワイン愛好家も数多く受験する国際的な資格。

<プロフィール紹介>

ノワロー・ジョン-パスカル

BIRTHPLACE: ポワティエ
DATE OF BIRTH: 1969年5月26日
HOMETOWN: ベルジュラック
INSEECビジネススクール
(現 インセック経済商業高等学院)卒
国際貿易・マーケティング専攻

【保有資格および最近の実績】

WSET DIPLOMA IN WINE & SPIRITS (2019)
WSG BURGUNDY MASTER LEVEL (2021)
PANEL JUDGE – JAPAN & SOUTH KOREA

福島県郡山市のフランス・ワイン専門店
JPM The Wine Company

Tel. 024-922-5957

https://wine-mura.com/

福島県郡山市八山田西三丁目41