意外と知らない? 郡山市の昔話【蛇骨地蔵】~美しい姫が祟りで大蛇に化けた⁈~

日和田町に伝わるこわ~い伝説
【蛇骨地蔵(じゃこつじぞう)】

日和田町の西方寺(さいほうじ)にある「蛇骨地蔵堂」は養老7年(713年)に開かれたという。それにまつわる昔話。

蛇骨地蔵堂

むか〜しむかしの話じゃて。日和田の領主・浅香忠繁(あさかただしげ)には、あやめ姫という美しい娘がおった。家臣の浅香玄蕃(あさかげんば)は姫に求婚したが、父・忠繁に拒絶され、それを怨み主君を殺してしまったそうな。玄蕃に従わぬあやめ姫も殺され、亡骸は無残にも安積沼に投げ捨てられてしもうた。

しかし、あまりの怨みで姫は大蛇と化し、玄蕃一族を祟ってついには滅ぼした。それでもなお大蛇の怒りはおさまらず、村人へ祟らぬ代わりに「毎年娘を生贄に差し出せ」と求めたそうじゃ。

時は流れ、権勘太夫(ごんかんだゆう)の娘が三十三人目の生贄となった。すると権勘太夫は娘の命を救うべく、遠く大和国(現在の奈良県)の観音様にお参りし、そこで出会った佐世姫(さよひめ)に助けを求めた。すると佐世姫は自らが代わりに犠牲になると申し出たそうじゃ。

佐世姫がひとり沼のほとりで、一心に法華経を唱えていると、大蛇が現れた。ところが大蛇はその法華経によってみるみる天女の姿に変わったそうな。天女は佐世姫に礼を述べ、残された蛇骨で地蔵を作ってくれるようにお願いし、成仏したとさ。それが西方寺に伝わる蛇骨地蔵堂の由来だそうじゃ。

蛇骨地蔵イラスト

現在でも地蔵堂の裏には、大蛇の人身御供となった32人の娘と佐世姫を供養するための三十三観音像が安置されている。また大蛇伝説の名残り「蛇枕石」(へびまくらいし)や「蛇穴」(へびあな)といった伝承地も遺されている。

※この物語は口頭で伝えられたものです。内容には諸説あります。

◆資料提供・取材協力
西方寺 郡山市日和田町日和田125